
アンディ鉱山を経営する地球三州(ミンガス州、コホード州、ローディア州)は、
連邦議会で最大派閥であるメドール州が、デロイアで大きな顔をしていることが気に入りません。
彼らは連邦に足並みを揃えないばかりか、デロイアでの権益を握るために革命の手助けすらしています
メドール選出議員であり連邦評議会の議長でもあるドナンは、地球連邦の意思を統一するため評議会を召集し、地球に一時帰郷しています。
■カシム家の食卓
久しぶりに家長が食卓に座っているカシム家の夕食風景。
上のふたりの兄が、まだ仕事から帰らないので、
お預けを食らっている長女の双子の子供たちがぐずり始めました。
仕方ないので先に食事を始めることに。
シリーズ冒頭にでてきたカシム家の食事風景は、ぞんざいな描かれ方でしたが、
この回は大事なシーンのためか、けっこう丁寧に描写されています。給仕の動作や、食べ方も丁寧に描かれています。


■獅子の子
末っ子は一番可愛いとよくいいますが、ドナンの場合それだけではなく。
クリンがただひとり自分の血を、すなわち、
自分の気性や性質をもっとも濃く継いでいるのだと思っているようです。
手元に置いておきたいはずの末っ子クリンが、
ドナンの望まぬ道へ行ってしまったのは確かに残念ではあるのでしょうが、
それゆえに、ドナンはクリンを地位ではなく血の後継者として認めているのだと思われます。
自分の血が流れているからこうなったと、
我が身を責めるクリンの母親フィナに、ドナンはいいます。
「クリンは兄弟の中で、わしの血を一番引いておるのかもしれん」
一見、妻を気遣ってかばっているような会話ですが。
この場面のドナンはむしろ、息子は俺の血を引いてるのだと、
妻を相手に、子供をとりあってるようにも見えます。
不肖の息子のはずなのにです。
「道は違うが、あいつはあいつなりに自分の道に自分を賭けている。
他人の目ばかり気にするラビンたちとはそこが違う。
お前のではない、あいつはわしの血を引いているんだ」
獅子が千尋の谷に我が子を突き落とし、這い上がってきたもののみを育てるように、
ドナンもまた、クリンを戦乱のデロイアに野放しにすることで、息子がどのように成長していくのかを楽しみにしているのかもしれません。
たとえ利害が反目して、息子を自ら殺すようなことになってもです。
「ラビンたちとはそこが違う」というドナンのセリフは、
「底が違う」=器の大きさが違うと、末っ子へ賛辞を贈っているようにも聞こえてきます。

ここは連邦軍が陣取っている鉱山鉄道の乗り場。
連邦軍の新型機のパイロット4人が、待機中にのんびりと食事をしています。
哨戒中の兵士たちが、待機中の彼らを見て
「いい気なもんだぜ」とガンを飛ばしてきます。
そんな扱いをされている彼らも、戦闘になれば真っ先に矢面に立つ前線部隊。
仲間の何人かは、前回ダグラムの反撃に合い戦死しています。
暗い雰囲気を吹き飛ばすかのように、除隊後の話や家族の話をする隊員。
「除隊したら一度俺のうちに遊びに来てくれ」
「うちのやつは器量は悪いが料理の腕は抜群だ。間違ってもこんなまずい肉を食わせたりしねえさ」
「ああ、ぜひ行かせてもらうよ。最高の酒をぶらさげてな」
いわゆる「死亡フラグ」がでてきましたね。
このように楽しい食事シーンが挿入されるからこそ、のちの暗転が際立つのかもしれません。
和気藹々とした団欒のまさにそのとき、
アンディ鉱山を目指す太陽の牙が、武装して彼らに近づいているのでした

負傷したジョルジュたちを運んだ先の野戦病院。
敵である地球の武器を使うサマリンに疑問をもっていたクリンは、
ラルターフにそのことを打ち明けます。
野いちごを摘んではむしゃむしゃ食うラルターフ。
「このイチゴ、まだ青いがひとつどうかね」
ラルターフは、この野戦病院が行政府の出資であることを話します。
そして、それこそが筋の通らない「矛盾」だという現実をクリンに突きつけました。
奇麗事だけでは怪我人は救えない。
同じように、大きな目標のためには目をつぶらなければならないこともあるのだというラルターフ。
「食ってみろ。熟したらさぞかしうまいだろう。だがいまでも食えんことはない」
ラルターフはどうやら、未熟なクリンと未熟な野いちごを重ねてるようです。
すっぱさに顔をしかめるクリンを見て高笑いするラルターフ。
クリンも、ラルターフの問いかけに、なにか思うところがあったようです。