スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


巨人の星 第11話 「青雲のせまき門」



■ 庶民の食卓

青雲高校の入学試験を終えて帰ってきた飛雄馬。
青雲の野球部でひと悶着あったため、帰宅したのはもう夕食時です。

ファンの間で語り草になっている、ちょっとした珍場面がここで拝めます。

kyojinnohoshi11-06 
「ただいま ご機嫌いかがダディ」

kyojinnohoshi11-07 
「ダ・・・ダディだと・・!?」

昼間の面接試験にて、上流家庭では父親をダディと呼ぶと教えられた飛雄馬はそれを真似してみたのです。
ただその情報源は、一代で財を成した伴自動車工業の叩き上げ社長である伴大造ですから、成金のいうことを真に受けるとこういう滑稽なことになるのかもしれません。

飛雄馬は、金持ちを鼻にかける横柄なブルジョワたちが通う青雲高校には、どうしても行く気になれず文句をいいますが、父は全て心得ているといった様子で飛雄馬の怒りをのらりくらりとかわします。

kyojinnohoshi11-08 
「明子 食事にするか」

kyojinnohoshi11-09 
「なんだ また納豆と味噌汁か」

吐き捨てるようにいう飛雄馬。
このときの古谷徹さんの演技が真に迫っています。
現在なら納豆業界と味噌業界からクレームがつきそうな、本当に嫌けがさすような言い方。
たしかに納豆と味噌汁だけでは夕食としては寂しいかもしれません。

飛雄馬の家庭は決して裕福ではありませんが、
一徹がまじめに働いているので、刺身などが食卓に上ることもあります。
しかしこの時期星家は、青雲高校へ入学する資金を貯めなければならず、
家計にもかなりの負担がかかっているのでしょう。

ですが一徹は飛雄馬の体つくりにも気を配っているはず。
この夕食には大豆製品が目立ちますが、なるほど、安価で高たんぱくな納豆は畑の肉などといいます。
納豆の登板の合間に、適度に動物性タンパクを織り交ぜていれば、
それらが飛雄馬の血となり肉となり、強靭な体を生み出すのになんら問題はなさそうです。

■ 恐怖のスタミナ料理

漫画やアニメでは、食事がキャラクターの内面を表現するのに使われることが非常に多いですが。
今回初登場となる怪童、伴宙太のキャラクターを表現する小道具にも食事が使われています。

伴は野球部においてはただの応援団長という立場なのですが、もちまえのあつかましさと父親の権力をふりかざして、野球部員たちを自分の子分のようにしごいています。

kyojinnohoshi11-11 

今日も野球部全員を引き連れての大名行列のような帰宅ですが、
家の前で「飯でも食っていけ!」と突然部員たちを食事に招待します。
伴の豪邸では、恐怖のディナーが彼らを待ちかまえていました。


kyojinnohoshi11-15 kyojinnohoshi11-16
豪邸の食堂に座らされ居心地の悪そうな部員たちの前にでてきたのは、名づけて伴宙太式スタミナ料理。
まずはスープからです。

匂い立つような湯気を立てて注がれる謎の汁。
kyojinnohoshi11-soup kyojinnohoshi11-21 
給仕をしている家政婦さんも汗だくです。
彼女らがつけているマスクは、衛生面のことを考えてというより、
臭気を避けるための毒ガスマスクのようなものかもしれません。
部員たちは鼻や口を押さえて、食べる前から死にそうな顔。

kyojinnohoshi11-19 kyojinnohoshi11-22

この汁の正体は「ニンニクとマムシの粉の特製スープ」 でした。
怯える部員たちをよそに、ひとり舌なめずりする伴。
kyojinnohoshi11-23 

さじをつけようとしない部員たちに、伴の怒濤の「食え」攻撃が襲いかかります。

「さあ遠慮しないで食え」
「運動選手はスタミナが第一だ さあ食え!」
「うーん美味い 食え!」

最後のは、美味いから食えへの華麗な連携コンボです。

▼ これが『美味い→食えコンボ』だ!
kyojinnohoshi11-24
kyojinnohoshi11-25
うーん美味い
kyojinnohoshi11-26 
食え!
笑顔で「美味い」を言い終わってから
「食え」の怒声が出るまでが約0.7秒。
(ストップウォッチで計測しました)

気分屋の豪傑ならではの
息つく暇もない必殺コンボです。
この恫喝を食らった者は考える余裕も与えられず、
出された料理を釣られて食ってしまうことでしょう。


kyojinnohoshi11-28 kyojinnohoshi11-28-b
伴宙太の脅迫に近い振る舞いにビビってついにスタミナ料理を食し始める部員たち。
いったいどんな味なのでしょうか。
吐きそうになるのをこらえる部員の姿を見れば、このスープがどんな味なのかだいたいわかります。



kyojinnohoshi11-30kyojinnohoshi11-29 
伴の指示で運ばれてきた次なる料理は・・・
kyojinnohoshi11-31
kyojinnohoshi11-32 


kyojinnohoshi11-33
「蜂の子だ 生きたやつにしょう油をちょいとつけて食うと…」

kyojinnohoshi11-34 kyojinnohoshi11-35
くちゃくちゃくちゃ・・・伴が蜂の幼虫を噛み潰す音が室内に響き渡ります。

kyojinnohoshi11-37 
「元気が出る!」

豪快を絵に描いたような男伴宙太は、胃袋も屈強です。
そのことは、のちの青雲高校野球部集団下痢事件のときに、
飛雄馬と伴のふたりだけピンピンしていたことからもわかりますが、
今回の食事シーンや、第43話にでてくる闇鍋などの悪食の描写からもそれは伺えます。


- - - - - - - - - - - - - - - - - -- - - - - - - - - - - -
◇ 「昆虫食」と「ゲテモノ食い」

このシーンでの蜂の子の描写には、明らかに「ゲテモノ食い」の意図があります。
それは、昆虫の幼虫を食うという行為が現代の日本では珍しいからであり、
私自身も昆虫は食べたことがないので、いざ食べるとなるとかなり抵抗があります。
そういった意味では、大多数の日本人にとって、昆虫食=ゲテモノという分類がされることや、
今回のように演出の小道具としてゲテモノの描写をされることは間違ってはいませんが、
世界的に見ると、「昆虫食」はそれほどめずらしい食文化でもありません。

わが国でも、イナゴは江戸時代から食料とされてきましたし、
長野県をはじめとして様々な昆虫を食べる食文化が根付いている地域があることを考えると、
ゲテモノ描写を鵜呑みにしてはいけないかなと思います。
日本でも戦後の食糧難の時期には、長野県に限らず全国的にイナゴやカイコのサナギなどが佃煮や甘露煮などに加工され食糧として流通していました。
昆虫には普段摂れない栄養がたくさんあるうえに、繁殖力や捕獲のしやすさを考えると、
食糧難のときには、昆虫こそが飢餓を救う食糧になることでしょう。



■ 少年時代の終わりと合格祝い

高校の入学祝の夕食。
花形から飛雄馬の合格をきいた明子が、合格祝いの料理を用意してくれています。

その夕食を前に、ギブスを外せという父一徹。
この大リーグボール養成ギブスは、小学生の頃から寝るときも食事をするときもつけていた、
すでに飛雄馬の体の一部といっていいものですが、
青年期を目前にして必要な肉体が完成された飛雄馬には、それももう用済みとなったのです。


kyojinnohoshi11-40kyojinnohoshi11-43 
丁寧にギブスを外していく飛雄馬。
その脳裏には、走馬灯のように苦節の日々が蘇ります。

kyojinnohoshi11-soumatou 
飛雄馬の剛速球は、ギブスのバネと憎しみのバネとで作られたという父に飛雄馬はいいます。
「父ちゃんありがとう」

kyojinnohoshi11-39 
    鬼の目にも涙

しかし一徹と飛雄馬の目標はもっとはるか先にあります。
このくらいで感慨にふけっている暇は、この親子にはありません。
長い道程の節目の日を今日はただ祝うのです。

「腹がすいたろう… 明子!」

kyojinnohoshi11-47 
「さあ 今日はあたしが腕をふるったごちそうよ」

kyojinnohoshi11-49 
今日というめでたい日に明子が丹精込めて作った夕食のメニューは、
尾頭付きの鯛にエビフライのようです。


夕食後、いつものように日課の投球練習がはじまります。
しかし今夜はギプスがありません。

「さあ飛雄馬 放ってみろ 高校生としての第一球を」

kyojinnohoshi11-50
kyojinnohoshi11-51 
轟音とともにミットに飛び込む、成長した息子の剛速球。
鉄面皮の下で飛雄馬に無言の檄を送る一徹の心をいま満たしているのは、
やはり、ひとりの親としての感慨なのではないでしょうか。

ギプスが外れたことで、少年時代の基礎鍛錬の時代がようやく終わり、
プロ野球へと続く本番の戦いがいま始まったのです。

今夜の食事は、高校入学の祝いの意味もありましたが、
飛雄馬の野球人生の節目と新たなスタートを祝っている意味が大きかったと思います。




■ 伴忠太との出会い

今回飛雄馬は、のちに無二の大親友となる伴忠太と出会いますが、
伴は当初、飛雄馬の前に立ちはだかる暴君として登場しました。

kyojinnohoshi11-01 kyojinnohoshi11-04 

青雲高校野球部は、この野球のド素人の暴君が牛耳っているために満足な練習もできません。
飛雄馬はなぜ父が、こんなどうしようもない野球部を持つ青雲高校に自分を入学させたのか不思議がりますが、
それもこれもみな一徹の思惑のうちだったのです。

   kyojinnohoshi11-ban 
 青雲高校の偵察中に伴宙太を見初める一徹


この回で、一徹が伴宙太の評価を語るシーンがあります。

「鋭い運動神経もさりながら、スポーツの持っている孤独に打ち勝とうとするその激しい気迫がわしを驚かせたのだ」
「伴宙太…ただものではない。飛雄馬がこれから本気でぶつかり合っていく価値のある人間は彼だけだと思った」


ものすごいベタ褒めです。
めったに人を褒めるようなことがない一徹だけに、その伴宙太への評価が本物だということがわかります。
そして一徹の確信どおり、伴宙太は飛雄馬とのぶつかり合いの中で、嫌味な暴君というだけでは言い足りない彼だけがもつ輝きを発揮していきます。

『巨人の星』は一徹を中心に登場人物たちが成長していく物語ですが、主要キャラクターのひとり伴宙太もそのひとり。
飛雄馬に出あったことで、一徹の成長の輪に巻き込まれた伴は、それまで行き場を失ってもてあましていた闘志の行き場を見つけ、
新たな生きがいを得て心が安定したのでしょうか。
どっしりした優しさの中にも気迫をもつという魅力的な人間へと変わっていくのです。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
・過保護一徹
しかし、こうしてみると、飛雄馬の交友関係までを計算ずくで影から支配している一徹は、ものすごく過保護な親だと思います。
いまや定説となった感のある過保護悪玉論ですが、最近ではそれを否定する教育論の言説も耳にするようになりました。
ひとりの人間の教育や結果に対し良し悪しという評価を下すのは難しいことです。

ですが、親と子の関係やその距離は、子供にとってはこれからの人生において対人関係のひな型であり。
これは人間の成長過程やその後の人格形成にとって最も大きなウエイトを占めるということはいえます。

飛雄馬の人生の全てにわたって君臨し、長距離のレールを敷いている一徹の教育はもはや異常と言っていいレベルです。
ただ、単なる甘やかしとは違う、こういった厳しさと距離感のある過保護ならば、人間の成長にとって良い影響をもたらすのかもしれません

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

この記事に対するトラックバック

トラックバックURL
http://gugugu001.blog70.fc2.com/tb.php/102-36db7051
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。