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じゃりン子チエ 第9話 「テツの家出?」


■いつもと違う朝

トントントンと響く包丁の音。

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その音で目が覚めたチエちゃんですが、
テツもすでに起きているようで、今朝はチエちゃんは一番遅く起きたようです。
いつもと違って、今日は家にお母はんがいます。

お母はんとお父はんがいて、子供よりも先に起きている。

普通の子供にとってはめずらしくもない光景ですが、
普通の子供であることをやめ、一家の大黒柱としてふるまってきたチエちゃんには、
そんな些細なことが素晴らしい出来事だったのです。

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感情を全身で表すチエちゃん

昨日から夫婦の別居生活が終わって、竹本家は晴れて元の家族構成に戻りました。
これも花井拳骨の導きと、なによりチエちゃんの努力のおかげでしょう。

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寝ている間に模様替えされた部屋は、これまでの殺風景さと打って変わり、親子三人の生活様式になっています。
幸せをかみ締めるように狭い部屋を見てまわるチエちゃん。
その風景の中には、料理をするヨシ江もいます。

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チエちゃんが寝ていたのを除き、布団はすでに片され、
かわりに出された卓袱台には食器が用意され、傍らには炊飯釜が置かれています。
あとは味噌汁だけで朝食が始められるようになっているようです。

テツと二人暮しのときにはチエちゃんがやっていた仕事を、いまは母親がてきぱきとこなしています。

この朝ごはんの支度の様子は、日常生活のささやかな幸せの象徴であり、
この光景を、日本一不幸な少女であるチエちゃんの目を通して見ることで、我々視聴者も普段みすごされがちな自らの生活の中の幸せを再確認できるのではないでしょうか。


手際よくネギを刻んで味噌汁に入れるヨシ江、
日本の朝の風景。

さて、幸せそうな二人と対照的に、この状況が面白くないのはテツです。


「邪魔なもんばっかりじゃ」

いままで自分の好き勝手に過ごしてきた部屋に、
水屋(食器箪笥)や鏡台など、ヨシ江の私物が運び込まれ、
一気に部屋が女臭くなってしまいました。

母親の影響で女らしい仕草をみせるチエちゃんに、とうとうテツのやり場のない怒りが爆発しますが、すかさず冷静なチエちゃんのツッコミが入ります。

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「うち女やんか。忘れてるんとちゃうか」

たぶんテツだけでなく、チエちゃん自身も忘れていたのでしょう。
そもそもチエちゃんは、テツとヨシ江はんの遺伝子をバランスよく受け継いでいます。

ですから、テツと二人暮しをしているあいだはテツとウマがあい、似たもの親子の仲の良いどつきあいのような間柄になるのですが、
ヨシ江が生活の中に入ってくることにより、チエちゃんに今度は常識的なヨシ江と共鳴する部分が多くなるのも仕方ありません。

しかしこれは非常識なテツにとっては、自分のテリトリーに異物(常識的尺度)が入ってきて居心地のいい(非常識な)城が崩壊することを意味します。
そもそも結婚は、自分のテリトリーに他者を受け容れる行為ですから、
結婚自体が向いてなかったのかもしれません。


■花見の賑わい

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「メシなんか食いたないわい! お前ら女で勝手に食え」

結局、憤懣を発散させるために彼の選んだ行動は逃亡。
椅子を蹴飛ばして暴れるよりは、よほど善良で賢い選択です。
これは女ふたりへの精一杯の抗議をこめた家出もどきなわけですが、この家出もどきがいつまで持つのかは明白。
テツが家人とケンカ別れをするとき、彼には逆らいようのない不利なルールがあらかじめふたつ定められています。

ひとつめのルールは、家をでたあとの彼の足取りが示しているようです。
テツの足は意識せずとも、賑やかな、人のいる方へと・・・

このことは、あとでテツが本当に家出をするシーンで描かれた百合根のセリフで率直に現されています。

「テツの性格はしってるやろ。あいつは遠くへ行くような男やないんや」
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 ↑家出のたびに居候される人

さて家をとび出したテツはいつのまにか満開の桜の下に。
孤独な男が賑やかな花見客の中を練り歩いていきます。

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「孤独や」というセリフと裏腹に、かなり人気者のテツ

 「寿司食うか」
 「かりんとうもあるどー」 
 「スルメ食べるか」

花見客は顔見知りだらけ。
テツの好物のかりんとうをはじめ、食べ物を手にした人々が次々にテツに声をかけてきます。

花見の席という場所柄もあり、ここでは食べ物がコミュニケーションツールとして活用されているのが見所です。
たしかに、しかめっ面のテツを呼び寄せるには食べ物で釣るのが効果的といえます。
ここまでしてテツの気を引くのはテツが人気者である証し。
それを無視して、孤独を満喫するぜいたくなテツなのです。

そんなふうにして家を遠ざけてぶらついていたテツですが、夕暮れになると時限爆弾が炸裂します。
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「いかん わし完全に腹減っとる」
「しょうもない家やけど帰ったる。とりあえずメシだけは食うとかんとな」

ふたつめのルールは、空腹です。
怒りに任せて家を飛び出したテツも、ようやくこのゲームのルールを理解した模様。

・遠くにはいかない
・おなかが減ったらとりあえず帰る


このルールは家出に限らず、そのままヨシ江はんとの結婚生活のルールなのかもしれません。
以降この家は、テツいわく「メシを食うためだけの家」となります。


■疎外のスキヤキ

さて、メシを食うために”帰ってきてやった”テツですが、
そこには予想だにしなかった光景と展開が。

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竹本一族+花井拳骨がスキヤキ鍋を囲んで団欒しているのです。
贅沢なスキヤキを囲んでる輪の中に自分だけがいない。
他人の拳骨や猫まで混じっているのに、なんてことでしょう、
誰もこの家の主である自分を待っていてくれなかったのです。

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 遠慮など皆無の拳骨

これだけでもショックなのに、
デリケートなテツのブロークンハートに、極めつけの一撃が。

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「おっちゃんあかん それ最後の肉や」

唯一テツの気持ちをわかって・・・いえ、テツの扱いに慣れたチエちゃんが、
どたんばで、まずいことになっているのに気づきましたが、ときすでに遅し。

「チエちゃん なんかゆうた?」
ぺロッと最後の肉を食ってこの台詞。
さすがです。

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おばあはんも、肉の減り方が早いのに気づいてなかったようです。
家をとびだして食事時にも帰ってこない男を全員空腹で待っている義理はないというだけの話で、
べつに皆、テツに食わせる肉はないとまで思ってはいなかったのです。

しかし荒っぽい元教育者の拳骨だけは見解が違うようで、
テツに一切の甘えを許しません。

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ネギを食えというご無体な拳骨

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「お前らわしをなんや思・・・!」

最後までセリフを言えずに泣きが入ってます。
ふだん好き勝手をしておきながら、こういう疎外にはことさらダメージを受けてしまう繊細なテツ。

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考える前に行動に起こすのがテツであり、金以外の借りは必ず返すのもテツです。
ダッシュで家を出て行くと、すぐにまた戻ってきました。
帰って来たテツの手には肉屋の竹皮の包みがぶらさがってます。

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「こら貧乏人 これみてみい!」

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包みの中身は、油ののった牛肉。
値段も安くはなさそう(バクチのためのタネ銭を少し持っていたのでしょうか)。
食べ物の恨みは食べ物でキッチリ返す。
これが彼の思いついた精一杯の報復です。

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「ビフテキじゃー!」
「わしひとりで食うんじゃー おまえらヘタの油もやれへんど」


冷や汗をかきながら無理して笑顔をつくりますが、
拳骨の指示が行き届いているので、そんな必死の虚勢にも皆はしらんぷり。
攻撃しているときは守りがおろそかになるものですが、
テツの足元を見ると、こっそり小鉄が近づいてますね。

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あっ、やりました。


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肉をくわえたまま脱兎のごとく走り出す小鉄。

ところで、この画面はどこかおかしいですね。

そうです、小鉄は手を使う猫。
なのに口に肉を加えて走るなどという、まるで猫のようなことをしています。
その理由はただひとつ。「手」を自由にする必要があるためです。

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追いすがってくるテツに、椅子を掴んで横にして置き、即席のトラップを仕掛ける小鉄。
椅子に足を絡めとられたテツは哀れ、路上で伸びてしまいました。

このときのテツのセリフは傑作です。
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「くそーくそー ほんまの孤独になりそうやー!」

彼は、自分が本当は孤独ではないことに、ちゃんと気づいていたんですね。
実にテツらしいセリフです。

日よけの上では、テツを頭脳プレイで見事しとめた小鉄が戦利品にかぶりついています。
 
舌なめずりのあと、自分の歯型がついた箇所にもう一度歯をあて、ぶちりと引きちぎり、
うまそうにむしゃむしゃと噛み砕きます。
見栄っ張りのテツがメンツをかけて買って来た肉ですから、上等の肉のはず。

これでは、本当にテツが可愛そうな気もしますが、これはいわば彼の幸せの代償なのでしょう。
テツのような幸せ者は、どこかで不幸せになってこそ釣り合いが取れるというものです。
こういうところでコツコツ不幸せになっていかないと、いつかとんでもない災厄が訪れますよ。本当。


■ひとりの朝ごはん

翌朝、チエちゃんがヨシ江はんと拳骨を見送っています。
ヨシ江はんは、今朝から働きに行くのです。

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女房が働きに出かけたそのとき、その夫は何をしているかというと・・・

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見事に寝てます。
そんなろくでなしのテツを起こそうと揺さぶるチエちゃんの顔はなぜか笑顔。
両親のふたりが家にいるだけでチエちゃんは(当面の間は)幸せなのでした。

もともとテツには誰も何も期待してないのです。
チエちゃんが店をやっているので収入はありますし、扶養家族が一人いるだけの話。
拳骨がヨシ江はんに仕事を紹介したのは、テツの性格を考えて夫婦生活が長続きするよう配慮したからのこと。
ふたりを昼間のあいだ一緒にしないためです。

昼間テツが働いてなくて家にいるのだからしょうがありません。
仕方なくヨシ江はんに仕事を紹介して、ふたりの距離を引き離したというわけです。
ふだんがさつな拳骨にしては、これは非常にデリケートで気の効いた配慮だと思います。

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さて、朝寝坊かに見えたテツ、実は狸寝入りでした。
ヨシ江が仕事に出かけたと知って、水を得た魚のように生き生きと動き出すテツ。

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宿敵ヨシ江のいない隙に、さっそく自分のテリトリーを広げるべく、チエちゃんを取り込みにかかります。
そんなテツの後ろにさっきから見える白い布ですが、
これはヨシ江が朝寝坊の(働かない)夫のために用意しておいてくれた朝ごはんなのです。

そんなヨシ江の心遣いも知らずに「ばんざーい」と無邪気にはしゃぐテツ。
右に見えるヨシ江の用意した朝ごはんと無邪気なテツが並んで対比されるような構図は、どこか残酷な描写にも思えます。

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自分を起こしてくれた娘と遊べると大喜びしているテツですが、
しかし、一日中ヒマなテツと違って勤勉な少女チエちゃんには、これから学校に行くという仕事があったのでした。

娘と一日遊ぼうという計画を立てているテツに、おどけた様子でフェイントをかましたチエちゃんは、べつにテツをからかっているわけではなく、むしろその逆。
起きたときに誰もいなかったらテツが寂しがると思って、学校に行く前にわざわざ起こしてくれたのです。
「サービスしたんよ」というおどけた口調ですが、彼女のこの行動には見かけ以上の愛情がこもっているとしか思えません。

先の花見の描写もそうですが、この回は、テツが孤独どころかつくづく幸せものだということが、とてもよく実感できる回です。
テツは孤独を標榜するただの寂しがり屋なのです。

それを見透かすようにチエちゃんが言います。

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「ひとりで食べるのは寂しいよ」

このチエちゃんの愛情のこもったからかいに、「女がおらんとせいせいするわい」と憎まれ口を言い返したテツですが、
いざチエちゃんが学校に行ってしまったあとのテツは、食事をなかなか始めませんね。

「お膳の上にあるから」といわれた食事にかけられた布は取り払われています。
メニューをみると、たくあんと、里芋の煮物でしょうか。
煮物には里芋と一緒に煮ると相性のいいイカが入っているように見えます。
味噌汁とごはんは、自分でよそってくれということのようです。

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テツが茶碗を箸で叩くとチ~ンと音がします。
まるで仏壇に置かれたお鈴を鳴らすみたいです。
その音を確認するように何度も繰り返すテツ。
どことなくお通夜のようです。

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   チ~ン…    チ~ン…

家族のでかけたあとの家では、茶碗の音色はいっそう大きく寒々しく響くように聞こえます。
いつまでもチ~ンと音を鳴らし続けるテツなのでした。

意地を張らずに、もう少し早起きして家族みんなで食べたら、きっと美味しい朝ごはんだったでしょうにね。




...おまけ(作品の感想と解説)


■ テツと小鉄

 もらわれてきた猫の小鉄ですが、その名前はテツの名前をもらってつけられました。
そんな同じ名前を持ったふたりの関係はというと、とても相性がいいとはいえないものです。


 ・猫の強さ

第9話では前半のビフテキの描写に続いて後半でもこのふたりの犬猿の仲を表した描写があります。
このときテツがたわむれに茶碗を投げつけたら、そのお返しに椅子をぶん投げられ、テツは顔の左半分に大きなアザを作ってしまいます。

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原作では省かれた椅子をブン投げる小鉄の描写


これがヤクザが相手ならテッテ的にどついて二度とナメた真似が出来ないようにするところですが、猫が相手のときのテツはやけに臆病です。
そして出した結論は家出。

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「ワシ家出したろかな」

この作品の世界では猫がかなりの強さをもっています。
おばあやチエちゃんにテツがケンカで勝てない理由は、女に対する気後れからですが、猫にはそんな気遣いはしてない模様。

テツはのちに、流れ猫スフィンクスの釜虎の持つ知恵の輪をとりあげようと、後ろから(殺すつもりで)石を投げつけようとしたことがありますが。
そのときテツは「小鉄と勝負する根性つけよ」といっていることからも、普段から小鉄にかなり恐れを抱いている様子。
しかもこのときテツは釜虎を後ろから不意打ちしたにも関わらず返り討ちにあい、寝込むほどひどい目にあっています。
単純にテツよりも猫のほうが強いのでしょう。


 ・小鉄の嫉妬?

今回のビフテキの描写もそうですが、テツにやけにつらく当たることが多い小鉄。
一体なぜなんでしょう。

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風来坊の苦労猫である小鉄が、やっと根を下ろした竹本家では、
自分と同じ名前をもつテツという男が働きもせず、家でごろごろ外でぶらぶらしています。

小鉄は自分のことを指してチエちゃんのファンだといっていますが、いくら媚びたところで猫は猫。
猫と人間を分けて考える少女チエちゃんは、アジが好きな小鉄にさんまの骨しかくれません。


律儀な小鉄は、店の手伝いもよくしますが、テツは一切したことがありません。
小鉄からすると、うらやましい境遇なのでしょうね。

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そういえば、テツが小鉄に茶碗をぶつけたのも、小鉄がマジメに掃除をしているときでした。
そのときテツはのんきにゴロ寝をしています。

小鉄からすると、自分の幸せな境遇に感謝もせずに甘えて不満ばかりたれているテツが妬ましいのかもしれませんね。
そう考えると、小鉄のテツに対する冷ややかな目線もすべて納得が行くような気がします。


 ・ふたりのテリトリー

さて、家出をしたテツは、小鉄に直接ケンカを売る度胸がないので、
姑息な手段で小鉄に復讐をしようと企みます。

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のちに小鉄の親友となるジュニアとの出会いは
もともとテツの計略だった

百合根
を酔わせてたぶらかし、小鉄にジュニアをけしかけるというこの作戦はうまくいき、おかげで小鉄は大怪我を負うことになるのですが、かえって小鉄に利する結果になります。

この一件は、ジュニアにとって親の仇である小鉄へのわだかまりを解き、
この場のテツ以外の全員、つまり、チエちゃんと百合根とジュニアとの絆を深めることになりました。
(以来ジュニアはチエちゃんの家の屋根から小鉄といっしょに下界を眺め、テツの生態を観察することになります)
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そして小鉄は完全に竹本家居つくことになるのですが、そのことでテツと小鉄のふたりがますます激突することになるかといえば、そうでもありません。
どちらかというと互いを避けていると思えるくらいに、ふたりの絡みは少なくなっていきます。

普段屋根の上にいる小鉄は、必要に応じて建物の間を滑り降りてきます。
テツは晩御飯と睡眠の為に、夜は確実に家にいますが、そんな家で小鉄が一緒に生活できているのは、
小鉄が竹本家に一歩遠慮をしているせいに思えます。

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滑り降りてくる小鉄

劇場版からの流用シーンの中でも、
とくに心地よい爽快感のあるカット。

その後小鉄は、チエちゃんの命令でテツをどついたり、騙したりすることはあっても、初期のようなテツを挑発するようなイタズラはなくなっていきます。
テツもテツで、小鉄を恐れつつも視界から遠ざけているように思えます。
これも同じ家に住むための知恵なのでしょう。そんなふたりはもはや家族といえます。


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