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THEビッグオー Act:03「Electric City」(その1)

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異色のロボットアニメ『THE ビッグオー』です。
この作品についてまずいえるのは、脇役のアンドロイドの少女、
ドロシーの存在の大きさなのですが、それは次回に回して、
まずは第三話の後半の食事シーンからみていきましょう。



発電所の街エレクトリックシティ。
かつて巨大な水力発電所のあったダムの再開発を拒む住民たちとのネゴシエイト(交渉)を依頼されたロジャーは、その近くの山小屋に一人で住む老人を尋ねます。

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老人に監禁されたロジャーですが、ちょっとした間に縄抜けの術を駆使して、
勝手に朝食をつくっています。

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「私のスクランブルエッグも、そう捨てたもんじゃないですよ」

料理をしているロジャーを見れるのは、これが最初で最期じゃないでしょうか。

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ロジャーの屋敷では、普段は執事のノーマンが家事全般をすべてやってくれていますから、料理ができること自体が意外な気もしますが、
これは、彼が軍警察を退職してネゴシエイターに転職したのが、それほど昔のことではなく、お屋敷の主人となって上げ膳据え膳の生活を始めてからの年月も浅いことを考えれば当然かもしれません。

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味に自信があるのでしょう、老人がスクランブルエッグを食べるのを得意げに見守るロジャー。

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味が薄かったのか、塩だかコショウだかを無造作にかける老人。
不満げなロジャー。

他人に作ってもらった料理に「調味料をかけるのは失礼かどうか」というのはよく議論されるところですが、
個人個人の味覚に個性があることから、許容する考え方や、味見をしてからならまったく失礼に当たらないなど、いろいろな考え方があります。

とうことは、正解のないようなこのような場面で、その人の人柄が顕著にわかるといえるのではないでしょうか。

我らがロジャー・スミスはというと・・・

彼は、交渉人という仕事柄にまったく似合わない、独善的で子供っぽい人です。(同時にそれが彼の魅力だといえます)
この首をすくめるリアクションは、彼の性格を良くあらわしているかと。

このあとロジャーは、ビッグオーを駆ってダムの貯水湖に棲む「竜神」と戦うことになります。







THE ビッグオー

製作:サンライズ、バンダイビジュアル
監督:片山一良
シリーズ構成:小中千昭 片山一良
放送期間: 1999年10月13日 - 2000年1月19日(first season )
        2002年10月 - 2003年4月(second season )

  (THE ビッグオー - Wikipedia)


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■ こだわりのビジュアル

『THE ビッグオー』を最初に見たときの第一印象は、
キャラクターデザインが、OVA『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』に似ているなということでした。

スタッフをみると、なるほど、
監督は、『ジャイアントロボ』にアニメーションディレクターという肩書きで参加していた片山一良氏。

キャラクターデザイン/メカニックデザイン/コンセプトワーク/スーパーバイザーという四役をこなしている、さとうけいいち氏も、『ジャイアントロボ』で作画監督と外伝のキャラデザをしていた人です。

『ジャイアントロボ』のキャラクターデザインは、原作の横山光輝氏の画風をアニメ用にリライトしたものですが。
『THE ビッグオー』の登場人物たちの描線にも、それと共通のラインがあるようです。

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しかし、どこかもうひとつクセがあるように思います。
それが何なのかがわからなかったのですが、ビッグオーの情報を調べているうちにそれを指摘している文章をみつけてわかりました。
『エイトマン』をはじめとするヒット作をもつ、漫画家の桑田二郎です。これは盲点でした。

私はエイトマン世代ではありませんが、エイトマンの印象的な姿はよく覚えています。
ロジャー・スミスの立ポーズ。プロポーション。そしてあの顔。
ロジャーの目鼻立ちはエイトマンに良く似ています。


このように『THE ビッグオー』の主要人物には、日本の懐かしい漫画の面影があると思うのですが、それ以外の脇役、モブなどでは、明らかにタッチの違うキャラデザインで、
アメリカ産のリミテッドアニメーションのもつ、極端にディフォルメと簡略化をされたタッチを、そのまま模倣したキャラが描かれます。

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レトロフューチャー(懐古的未来)を売りにした本作ですが、レトロの部分には、日米双方の懐古趣味を取り入れてるわけです。
この二つの異なるタッチが同居している和洋折衷なところや、ものすごく濃いオマージュをデザインに取り入れているところが『THE ビッグオー』のビジュアル面での特徴です。

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第9話登場。悪党ベックが作ったロボット、ベックビクトリーデラックス

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第13話に登場した異国のメガデウス3体

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『マジンガーZ』(1972)にでてくる機械獣ジャイアンF3

また、幾体も登場するメガデウスシリーズをはじめ、この作品にでてくるロボットのデザインのいくつかは、
1960~70年代の特撮番組やアニメにでてくるロボットを思い起こさせるシルエットをしているように思います。
(私は特にレッドバロンの体型が思い浮かんだのですが、調べてみると、これは当たりでした。)

例えば、1stシーズンの最後にでてくる異国のメガデウスのおどろおどろしいデザインコンセプトは、特撮番組の怪獣たちや、『レッドバロン』の元ネタである『マジンガーZ』の機械獣などを髣髴とさせます。

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『ミラーマン』(1971)にでてきたゴールドサタン

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『スーパーロボット レッドバロン』(1973)

他にも、OP映像が『ウルトラセブン』のそれを模倣していたりと、特撮番組の影響は大きそうです。

おそらく作り手たちが子供の頃。
ブラウン管を賑わせていた番組たちのイメージを凝縮させたのだろうと思います。



■ 難解な世界設定

次に内容ですが。
『THE ビッグオー』は、シリーズ構成とメインライターに、
小中千昭氏が参加しています。
小中千昭といえば、代表作『serial experiments lain』にその作風が顕著に現れているように
人の記憶や思考や感情こそが世界を構築し、外界と内的世界の境に明確な区別はないといったような観念的なテーマを好んで書くタイプの作家です。
『THE ビッグオー』でもその作風が、そのまま作品の特徴となっているといえます。

『serial experiments lain』では、世界を世界たらしめるものが、
個人の主観によったものではなく、ネットワークだということが最大の特徴でした。
個人のパーソナリティと集合意識の境があいまいな世界で、主人公の少女レインは、
各登場人物だけでなく、ネットワークにつながるすべての人間の中に存在する神として、
世界と同調していきます。

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『THE ビッグオー』の舞台であるパラダイムシティでも大規模な「同調」が基本にあります。
この町の住民すべてが40年前に起きた「なにか」によって、
それ以前の記憶をすべて失っているという、かなり特殊な設定なのです。

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記憶を失った人たちは、そのことに普段あまり疑問を感ずることなく、むしろ快適に暮らしていますが、ときどき彼らの奥底に眠った記憶(メモリー)が、何かの拍子に蘇ってきます。
番組では、そのような町で必要とされる職業こそが、ネゴシエイター(交渉人)だという設定になっていますが、ネゴシエイターという職業にはそれほど深い意味はなさそうです。

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この町でネゴシエイターをしている主人公ロジャー・スミスもまた、蘇った断片的なメモリーによって動いています。

ロジャーは25歳ですから、40年前の「なにか」のあとに生まれた人間です。
しかしおそらく、彼がネゴシエイターをすることも、巨大ロボットビッグオーを操縦することも、メモリーによって定められているのでしょう。

彼だけでなく、この町の老若男女すべてがなんらかのメモリーを持っているようです。
肉親や他人のメモリーを持っている人もいますし、のちにでてくる記憶の移植という設定を考えると、メモリーは個有の財産ではないようです。
それ以前にメモリーは、このこの町に住むすべての人々を、彼らも気づかないうちに支配している不文律なのです。

番組では、この難解極まりないメモリーという設定を、説明不足になりながらも、ときにはアイテムを解しながらプロセスをおって謎解きしていきます。

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しかし謎解きがされるギリギリのところで、やっぱり肝心のところはわからない。なんだかんだでビッグオーがハデに暴れて事件は解決。不可解なまま個々のドラマが終わる。
その不可解さを楽しむのがこの作品の正しい見方かもしれません。
パラダイムシティの住民と同じく、視聴者も「わからないこと」が心地よいのです。

番組は一度13話で終わりますが、その最後にある程度この世界の謎解きがされます。
しかしそれが本当にあった事実なのかは、やはりわからないようになっています。

そして、わからなさはとりあえず脇にどけられて、登場人物たちが、過去ではなく今を生きていることが強調されていきます。
このちょっと投げやり気味な前向きさが、この作品のテーマなのかなとも思います。

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【2007/12/02 14:00】 | #[ 編集]

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エイトマン『8マン』(エイトマン)は、週刊少年マガジンに1963年5月から連載された漫画、及び同作品を元に1963年11月8日から1964年12月31日まで東京放送|TBS系で全56話が放送されたサイエンス・フィクション|SFテレビアニメ、およびそれに登場する主人公の名前。漫画版の表記 アニメ・マンガ 集まる!【2007/09/29 19:57】


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