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地獄少女 第20話 「地獄少女 対 地獄少年」



最近売り出し中の霊能力者ジル・ドゥ・ロンフェールとの超能力対決に破れ
出演番組を追われてしまった超能力者、エスパー渡辺。

テレビ局にいいように使い倒された挙句、キャラを勝手に変更されリアクション芸人にされてしまいます。

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普通はこういったバラエティ番組には「完全台本」があるようですが、
今回は、エスパー渡辺だけ台本なしで進行するドッキリということになってるようです。

「きいてないよー!」 と良いリアクションのエスパー渡辺。

挙句には、地獄少女を呼び出すためのダシに使われることに・・・


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お約束のタイミングで、熱々のおでんを口に放り込まれ、悶絶する様は、
いまは画伯になってしまった往年のいじられ芸人片岡鶴太郎や、
ダチョウ倶楽部の上島竜兵を思い起こさせます。



■ バラエティ番組と食べ物について

今回は、「バラエティ番組の食べ物」というアニメにしては珍しい題材が出てきたので、その話をしたいと思います。
(ほぼ批判になりますが、今回の『地獄少女』では、それをシニカルに戯画化しているので、この番組へ向けてのものではありません。)

※なおこのシーンにおいては、「食べ物」のことよりも、いじられ芸人の「いじられ」の側面のほうが強いので、
それが「いじめ」としての性格を持つんじゃないかという論題のほうを優先すべきだとは思いますが、このブログでは省きます。


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作中のいじられキャラエスパー渡辺の本名は「わたなべひろし」。
『地獄少女』の原案にクレジットされているアニメーターです。
気心の知れたスタッフ間のお遊びなのでしょう。




バラエティ番組史を紐解くと、
「食べ物を粗末に扱うな」と批判されたTV番組は多く、
古くは『8時だよ全員集合』などの人気番組で、スイカやケーキをこれでもかと舞台に撒き散らすドリフターズなどが槍玉にあがってきました。
いかにもあたまでっかちなPTA的な指摘にも思えますが、私は個人の考えからこの批判には賛成です。
これはむしろ「良識」というような規範のことよりも、私的な「感情」の問題だと思うからです。


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「顔面パイ」
欧米のドタバタコメディで発達した
パイ投げの大技


そもそも、日本でこういった、テレビ番組で食べ物を遊び道具にしてしまう風潮が生まれたのは、
日本のテレビ黎明期に、放送番組をほぼ欧米からの輸入に頼っていたために、
パイ投げなど欧米の文化がそのまま輸入されてしまったことの影響が強いように思います。



日本人がこの行為に眉をひそめるのは、まず日本古来の美徳や文化的基盤がその理由のひとつにあって、
それが批判者を「良識ある」人々といわしめる所以でしょう。
しかし実際には、この問題は、槍玉に挙げる側の「良識のある人」といういうような、
しゃちほこばった肩書きから発せられるようなものとは関係のない「感情的」なところに原因があるように思います。

私はこちらの理由のほうが大きいと思うのですが、
食べ物を粗末にすることが批判されるのは、
近代の日本人に「悲惨な戦争体験」があったからではないでしょうか。
圧倒的な物量で勝利した戦勝国と、身を削って戦い負けた敗戦国の持つ精神的、文化的な基盤の質の差は大きいです。

戦争前後の時代を体験した世代は年々減っていますが、
日本では、いまだ8月になると終戦記念の番組が組まれ、
何度も放送されるジブリアニメ『蛍の墓』では飢えた少女が衰弱死する様を見せつけられます。

この飢餓とアイデンティティ喪失のダブルパンチのトラウマを払拭できるほど、
日本人は敗戦の影響から解放されていないように思えます。
またその必要もないと思うのです。
辛酸をなめた歴史も、わが国が得た大事な経験だからです。


敗戦と共に、進駐軍と大量の物資や食糧援助がやってきて、慢性的な食糧不足が解消されたばかりでなく、
この物資を元に行われた給食制度のおかげで日本独自の農村問題であった欠食児童さえもなくなりました。
まんべんなく飢えから開放された日本。
そのことには感謝すべき部分が多いと思います。

この援助物資のほとんどは善意の団体による純粋な慈愛です。
しかし同時に、飴と鞭を使い分ける米国の占領政策の下で行われた事業でもあったわけですから、
日本人の文化的なレベルからの洗脳行為という側面もあったのではなかったでしょうか。
世界がもれなく欧米化することになんの罪悪感もない国が戦勝国アメリカだからです。



食べ物を粗末にする行為は豊かさの証しなのかもしれません。

日本の敗戦が1945年。
日本のテレビ放送が始まったのが1953年 。
経済白書で「もはや戦後ではない」という標語が発表されたのは1956年。

このとき日本人は失ったプライドが復興したと同時に、豊かな欧米の先進国に骨まで追随する快感を覚えてしまったように思えます。
ブラウン管に写ったパイ投げの悪ふざけは、食うや食わずの生活をようやく脱却した日本人の目にはさぞかし輝いて見えたことだろうと思います。

他国のよいところを取り込むのが日本の民族性ともいえますから、なんでもかんでも真似をするなとはいいません。
ですが、欧米の考え方を咀嚼もせず、そのまま飲み込む行為は、思考が停止した危険な状態でもあるはずです。

もしそのような呆けた頭で考えだされた「笑い」があるとするならば、それにはどれほどの価値があるでしょう。


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この「食べ物」の笑いを機械的に分解してみると。
実際には、食べ物をこのように粗末に扱うことがタブーとされるからこそ、
タブーを逸脱した爽快感みたいなものが生まれるのだと思います。
このメカニズムは「笑い」の技のひとつとして十分に価値のあるものだと思います。

しかし説明してきたように、わが国の風土では、呆けたノリでやるほどにその行為に面白みを感じる土壌があるとは思えませんし、まだ親や祖父母の世代が生きてきたわずか数十年前の日本の体験をないがしろにして成り立つ世界に、私は不快感を覚えるのです。
「面白ければいい」
たしかにそうでしょう。面白いことは価値のあることです。
しかし、面白さに貴賎はあります。少なくとも私はそう考えています。

お笑いとは複雑なもので、嗜虐心、差別感情といったネガティブなエネルギーが最高の素材になったりします。
しかし、扱ってる代物がネガな世界から来る、黒いエネルギーなのだということを作り手が自覚してこそ、
それが正確に受け手へ伝わり、「笑い」と呼べる文化的なものに昇華するのだと思います。

そういったプロセスになんの思索もフォローもなく、ただ「おもしろいから」と垂れ流す痴呆的笑いは視聴者の脳を退化させるのみだと思います。そして、それは本当に「笑い」なのでしょうか?
(これは大げさにいう比喩表現ではなく)チンパンジーだって同様のことに面白さを見出せるのではないでしょうか。



だいぶ前から、こういった「食べ物を粗末にするな」という批判かわしのために、パイ投げには食用でない擬似クリームが使われていますが、それこそ欺瞞です。
パイ投げが面白いというのなら、食べ物を粗末にして踏みつける上に生まれる笑いこそを追及すべきではないでしょうか。

そのような覚悟もなく糞尿のように垂れ流すコントは、ただただ痴呆的な彼方へと突進するのみ。
その先に新しい笑いの地平があるとはとても思えません。
私が思うに、その先は滝になっていてナンセンスと呼ぶのもおこがましい、知性皆無の暗黒の瀑布があり、そこに一度落ち込んだら二度と人間の世界には帰ってこないのだと思います。

「笑い」とは人間だけに許された高度な感情です。
楽しい馬鹿騒ぎは決して「笑い」ではないし、
「笑い」を作ることは呆けるのとは正反対の作業なのです。


しかし、よくよく考えてみれば、いくら食べ物を粗末にしてはいかんと吼えてみても、マクドナルドなどのファストフードに象徴されるように、欧米の食文化にすっかり席巻され慣らされてしまった飽食の日本人。
大食い番組が視聴率をとり、夕方のニュースでは一発ネタとしか思えない大盛りメニューが毎日のように特集されています。
世界中がマクドナルド化していることを考えても、たとえ占領政策などなくても日本はいずれこうなったでしょう。
飢餓から得る教訓も、粗末にされる食糧への批判も、
飢えたことがない私の言い分も含め、しょせん象徴化、記号化されたイメージで構成されたバーチャル世界での話でしかありません。

しかしながら、もう一度「食べ物を粗末にするな」という標語と併せて、あえていいたいのですが。
そのバーチャルの部分こそが大事なのではないでしょうか。
これは、単に気構えや観念の問題であり、
「気構え」は感ずること、考えることを通じていつか社会に還元していく可能性をもち。
そのわずかな変化の可能性に意味があると思うのです。

日本ではすでに、大量消費され容赦なく廃棄されていく食材への罪悪感も薄れて久しい状況です。
しかし同時に食糧自給率が40%で、国民の胃袋を満たすのに大半を輸入に頼らざるを得ないのも日本なのです。

麻痺した感覚は、危機に対する緩んだ意識を生み、いつか手痛いしっぺ返しを呼ばないも限りません。
食べ物は、人間の命をつなぐ大切なものではなかったでしょうか。

そんなことを忘れがちになる飽食の時代にこそ、「食べ物を粗末にしてはいけない」といえるような、最後の一線だけは引いてきたいものですね。

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