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太陽の牙ダグラム第39話 「封鎖山脈を越えろ」



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ここは連邦軍が陣取っている鉱山鉄道の乗り場。
連邦軍の新型機のパイロット4人が、待機中にのんびりと食事をしています。

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哨戒中の兵士たちが、待機中の彼らを見て
「いい気なもんだぜ」とガンを飛ばしてきます。


そんな扱いをされている彼らも、戦闘になれば真っ先に矢面に立つ前線部隊。
仲間の何人かは、前回ダグラムの反撃に合い戦死しています。

暗い雰囲気を吹き飛ばすかのように、除隊後の話や家族の話をする隊員。

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「除隊したら一度俺のうちに遊びに来てくれ」
「うちのやつは器量は悪いが料理の腕は抜群だ。間違ってもこんなまずい肉を食わせたりしねえさ」

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「ああ、ぜひ行かせてもらうよ。最高の酒をぶらさげてな」


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いわゆる「死亡フラグ」がでてきましたね。
このように楽しい食事シーンが挿入されるからこそ、のちの暗転が際立つのかもしれません。

和気藹々とした団欒のまさにそのとき、
アンディ鉱山を目指す太陽の牙が、武装して彼らに近づいているのでした




■死亡フラグと食事の関係

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アニメの兵士は家族や恋人の話をしてはいけません。死んでしまうからです。
除隊話と組み合わせるなどもってのほか。
殺してくれといってるようなものです。


この物語の初期にも、家族の話をしてから直後に死んでしまった人がひとりいました。
彼はクリンの上官でしたが、主人公クリンはその屍を乗り越えて前に進んでいかねばなりません。

しかし、彼らの怨念がクリンを逃がしてくれないこともあります。

このあとにくる、第40~
41話の「戦士の休息」前・後編は、
それが初めて具体的な形となって、クリンの前に立ちふさがるという印象的なエピソードでした。

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「戦士の休息」で、2話に渡って復讐の鬼となりクリンを追いかけてくるのは、
この回で談笑している兵士の中のふたり。
そのにこやかな顔は、のちの悪鬼のような姿と対照的に描かれています。

このとき、復讐の鬼となった彼らの行動が意味しているものは、
作者が「死亡フラグ」を使って描こうとしているのと同じもののはずです。

それは、登場人物の「生」に他なりません。
そしてそれはこのブログテーマである
「アニメキャラクターがものを食べること」にも通じることなのです。



これを説明する上で、まず押さえておきたいのは、
「死亡フラグ」という言葉が存在する理由です。

「死亡フラグ」とは、
キャラクターが死ぬ前に、作者が繰り返し使われるような手垢のついた伏線を張るので、
視聴者にその死が予測できてしまうことから、それを揶揄する言葉なわけですが、
「伏線」は先を読まれてしまったら、回収時にその効果が半減します。
ではなぜ作者達は、そんな予測できるようなお馴染みの伏線を張るのでしょう。


死亡フラグとは-はてなダイアリー

ここに代表的な死亡フラグの例が出てきます。

  • ヤクザが “足を洗う”ことを示唆する。
  • 風来坊が “根を下ろすこと” を示唆する。
  • 寡黙な人が、身の上話をする。
  • 厳格な人が、優しさを見せる。
  • 戦争で「無事に帰ってくる」「生きて帰れたら結婚してくれ」などと約束をしたり、「もし帰れたら、小さな店を開きたいんだ」などとささやかな夢を語る。
  • 戦時中恋人妊娠が発覚する。もちろん、幸せな家庭を一緒に築く約束を相手としている。
  • 目立たない脇役が目立つ。一話まるまる脇役のエピソードになるなど。
  • 今まで孤独だった人物が、愛や友情に目覚める。救いを求めて人と心が通じ合った直後など。




さわりのほうだけ載せましたが、まだまだあります。
今回の『ダグラム』での死亡フラグはこの類型のひとつにすぎません。

この死亡フラグの例に共通しているのは、明暗だったり上下の強調です。
一度上げてから下げると、急落したときにその落差が大きくなり、
そこに演出上のダイナミズムが生まれるわけです。

伏線は、ミステリーのように驚かせるためだけに存在する作劇テクニックではなく、
予定調和のための伏線も存在するわけです。


では、こういった創作物には、なぜ判で押したように似たような死亡フラグがでてくるのでしょう。
作者の怠慢ということもできますが、これには、それ以上に深い意味があるように思えます。
それは人間を描こうとする以上、人間の行動は類型的にならざるを得ないからではないでしょうか。



最初のうちこそ、クリンも戦争の恐ろしさに身を振るわせているだけでしたが、
そのうち戦いに慣れもでてきます。
そしてクリンは数々の敵を撃破してきました。
しかし撃破されるコンバットアーマーに乗っているのは同じ人間です。

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かといって敵に同情はしていられません。それが戦士だからです。
そういった人間らしい部分を麻痺させなければ、
数々の戦果をあげることは不可能だったともいえます。

いってみれば、「コンバットアーマー」だったり、「敵」だったいという象徴的な記号のみを撃破してきたクリンですが、
クリンがそうであるように、コックピットに乗っている彼らは生身の人間ですから、メシも食うし糞もします。
恋人もいれば、家族もいる彼らのささやかな幸せは、戦死という形であっけなく破壊されてしまうのです。

そしてそういった幸せの価値観は、人間である以上世界共通であり、異国であっても大差はありません。
「死亡フラグ」が意味するものは、そこにこそあるのではないでしょうか。



食事とともに家族の話をして、死亡フラグを立ててしまうアニメキャラは他の作品にもいます。
たとえば私は、『機動戦士ガンダム』のスレッガー中尉などが思いだされますが、
そのシーンがすぐに思い出せるのは、そのシーンが印象深いものだったからでしょうね。

なぜ印象深いかといえば、そうなるべく演出がされているからです。
スレッガーは、最後にハンバーガーを食べていました。
食べることは人間の営みですから、ひとりの「生きた人間」が死んでいったことが、食事によって強調されている構図といえます。


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『機動戦士ガンダム』のスレッガー。
母親の形見の指輪をミライに託して出撃していく。

「死亡フラグ」とは、いってしまえば演出の方法論。
画面の中で殺されていくのが、生身の人間であることを今一度確認し、戦いの悲惨さを強調するための手続きです。

いわゆる「死亡フラグ」が食事のときに語られることが多いのは、
「食事」が彼ら「生きている者」として、もっともふさわしい行動であり、
同時にそれが、死亡の手続きとしてふさわしい文脈で語られているからだと思われます。

アニメが「食事」を描く意味は、つきつめれば「生」を描きたいからであり、
「食事は」その反対に位置する「死」を描くこともできるということになります。

普段、何気なくアニメに挿入されている食事シーンですが、それにはなんらかの意味があるし、
こういう大事な局面では、「食事」はより大きな役目を背負うといえます。



■ 義兄レーク・ボイド


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レーク・ボイド行政官は、クリンの姉の婿。つまりクリンにとっては義理の兄さんです。
当初、地球にクリンを送り返す役目を背負って登場した上官のレークでしたが、
クリンはその意に反してゲリラになってしまいます。

38話は、袂を別ったふたりが皮肉な形で再会をした回でした。
解放軍をつくるためアンディ鉱山に入らんとするクリンたち太陽の牙。
それを阻止せねばならない責任者のレーク。

その駆け引きの中で、寡黙だったレークの胸の内がだんだんと明かされていきます。



レークが初めてクリンに会ったのは、カシム家に結婚の挨拶にきたときでした。

彼のあまりぱっとしない家柄や学歴などに渋い顔をするカシム家の面々でしたが、
クリンの言動であっという間に場の空気が変わり、成り行きが違った方向に動き出しました。

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長男のラビンと次男のロイルは不満げですが、クリンに抗するタイミングを失ってしまったようです。

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それを眺める一家の長ドナンは、クリンのやんちゃぶりを苦々しく思うどころか、
末の息子が人心を動かす力と魅力を備えた人物であることを嬉しく思っているようにも見えます。

間違いなくレークはこのとき、クリンの魅力に心をつかまれたことでしょう。
クリンも、血のつながった兄たち(といっても半分だけですが)よりも、このレーク兄さんを慕ってくれているようです。
しかしその優しい絆が、いまはレークにとって呪縛となり、彼の決断を鈍らせるのです。

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彼は、この物語の登場人物の中でも、もっとも苦悩した人ではないでしょうか。
軍人として、平和と自由を愛する人として、家庭を持つ夫して父として。
そして兄として。

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38話の再会シーン

義理と仕事と信念。
三つも四つも立てなければならないものを抱えているため、
レークは、それらの間でぎゅうぎゅうに板ばさみになります。

最後は、すべてに疲れたかのように退場していくのですが、
これは、繊細でまじめな彼を行政官に任命した、ドナンの読み違えが大きいように思えます


逆に言うと、この戦乱の地で華々しく活躍する他のキャラクター達は、
鈍感さ、大胆さといった突き抜けたものがあったからこそ、戦い続けられたのでしょうし、
そういった活躍をする突き抜けた人は、悪党も含めて魅力的なものです。

しかしレークがそういった人たちに比べて魅力のない人物かというと、決してそんなことはないのです。
まじめさとか誠実さといった美点は、人柄としては地味な要素に思えますが、徹底すれば大きな魅力となる。
そのことを体現していたキャラクターがレークだったと思います。

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